歯槽膿漏の治療を成功させるには、その原因をよく把握することが第一で、

原因の除去処置を施すことが根本です。

対症療法(腫れや出血に対して薬をつけたり、洗ったりすること)だけでは

一時的に症状は、消退しますが必ず再発して、病状は次第に悪化していきます。

原因は、局所的なものと全身的なものの2つに大きく分けられます。

さらに局所的なものは、発炎性因子と

咬合性外傷(咬み合わせが悪いため歯周組織を破壊すること)によるものがあります。

 

 

<局所的原因>

・歯垢、歯石

・食片圧入(食べ物が歯と歯の間に挟まること)

・口呼吸(いつも口を開けて息をすること)

・歯列不正(悪い歯並び)

・口の解剖形態異常(歯茎やその周辺の軟らかい組織の形が生まれつき正常でないもの)

・不適合な修復物(よく合っていない人口歯冠や入れ歯)

・軟性、粘着性食物(歯面や歯茎にくっつき、清掃しにくい食べ物)

・早期接触(歯のある1ヶ所にだけ強い力が加わる咬み合わせ)

・ブラキシズム(歯ぎしりや食いしばり)

・舌習癖(下で歯を押す癖)

 

<全身的原因>

・栄養不良(全身的に組織の抵抗力が衰える)

・内分泌異常(性ホルモンのバランスが乱れると歯茎に異常が現れる)

・ビタミン欠乏(特にビタミンCが不足すると歯肉出血や組織破壊が起こりやすい)

・血液疾患(白血病では初期に歯茎の出血が見られる。

最近は白血球の炎症部位へ動いていく性質や、

細菌などの異物を取り込む食作用の低下が注目されている)

・代謝異常(糖尿病、腎疾患は歯周組織の生活力を低下させる)

・その他(動脈硬化、貧血、慢性消化器疾患、ノイローゼやストレスなどの心身症)

 

 

たくさん原因を挙げましたが、この中でもっとも重要で、

全体の鍵を握っているのは歯垢であるといって差し支えないでしょう。

歯垢は歯の表面に付着する白色ないし淡黄色の軟らかい糊上のもので、

歯の色とよく似ているため、なかなか見分けがつきません。

また、歯の表面にしっかりとしがみついているので、

うがいだけでは決して落ちることはありません。

食べ物のかすは、うがいにより簡単に取れます。

実験的に、4日間普通に食事をして一度も歯を磨かなかった場合、

歯垢染め出し液で染めてみますと、

歯面全体に歯垢がついているのがよく分かります。

しかし、染め出し液を使わなければ、一見しただけでは、

きれいで健康な状態と区別がつきません。

歯ブラシで丁寧に歯磨きすると、この歯垢は完全に取り除くことができます。

4日間歯磨きをしないだけでこんなにたくさんの歯垢が付くのは、

口の中は歯垢が成長するのに大変都合の良い環境にあるからです。

つまり、最近が育つのに適した湿度が保たれ、

唾液から水分が補給され、

食べ物から栄養が供給され、

そのうえ歯と歯茎の境目が溝となって、たまり場を提供しているからです。

歯垢の成分は大部分が水ですが、残りの20%ほどが固形成分です。

この固形成分のうち、70%を細菌が占め、あとは歯周組織から出てきた細胞や血球、

それに唾液から生じたねばねばした物質などが含まれます。

歯垢が最も重要な原因因子といわれるのは、

主成分である細菌の集団が存在するからです。

歯垢1mgの中には、約2~3億個の多種多様な細菌がうごめいています。

あるいは、耳かき一杯に30億個いるともいわれます。

この細菌が歯周組織を壊す毒素や酵素を出して歯槽膿漏を起こすわけです。

歯面にくっついた歯垢をかきとって顕微鏡で写してみると、

そこには棒状の物、糸状のもの防紡錘状のもの、枝分かれしたもの、

ブラシ状のものなど実に色々な形をした細菌、

あるいは運動する菌やしない菌、空気の好きな菌や嫌いな菌など、

口の中に常駐するあらゆる細菌がひしめいているのが見られます。

現在では、歯槽膿漏に直接影響を及ぼす細菌は、

まず最初に歯面にくっつく球菌などよりも、

あとから増殖してくる空気の少ないところで発育する運動性の桿菌群であり、

これらは病気を防ぐために体の中から出てくる

白血球やリンパ球などの細胞の機能を障害したり、

歯槽骨が溶けるのを助長したりするなど、歯槽膿漏の病状を悪化させる性質を持っている

ということが分かってきました。

もちろん、全ての人がこれらの細菌によってどんどん病状が進むわけではなく、

体の抵抗力が衰えた時や、

細菌が歯周ポケットに住み着いて増殖しやすい条件が揃った時に、

歯槽膿漏は一気に進行していくのです。

このような原因菌が成長するのには、

前に述べたような空気の多いところで繁殖する非運動性の細菌が、

先に歯面にくっついて手助けをすることが必要条件となります。

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