フッ素について

 

  • フッ素を虫歯予防に応用した歴史

20世紀の初め、アメリカのある地区の住民に白濁したり茶褐色になった歯(斑状歯)が多数見つかり、調査したところ、飲料水中のフッ素が原因であることが明らかになりました。同時に、その人たちには虫歯が少ないこともわかりました。そこで、アメリカ国内で調査が行われ、飲料水中のフッ素濃度の高い地区では虫歯が少なく、斑状歯の多いことが分かったのです。そして、飲料水中のフッ素濃度が1ppm(100万分の1の意味で、1リットルの水の中に1ミリグラムのフッ素が入っていること)前後だと虫歯が少なく、外見上、問題となるような斑状歯にならないことがわかったのです。

  • フッ素で虫歯が予防される理由

八歳ごろまでに摂取されたフッ素は胃腸で吸収され、血液循環によって、顎の骨の中で作られている歯のエナメル質中に取り込まれます。すると、エナメル質が強くなり、酸に溶けにくくなります。また、生えた歯の表面にフッ素を塗ると、エナメル質にフッ素が取り込まれて酸に溶けにくくなったり、エナメル質の表面がわずかに溶けても、すぐに修復されるのです。このようなことから、フッ素が歯の質を強化し、虫歯予防に役立つことがわかります。

  • フッ素による虫歯予防のあれこれ

1、水道水フッ素化

水道水中のフッ素濃度を1ppm前後に保つ方法です。アメリカを中心に世界中で行われており、乳歯、永久歯とも虫歯が半減しています。

2、フッ素洗口

4~15歳の間、フッ素液で週に1~5回洗口(ブクブクして吐き出す)して、永久歯の虫歯を予防する方法です。保育園、幼稚園、小中学校において集団で行うのに適しています。我が国でも各地で行われるようになり、永久歯の虫歯が半減しています。

3、フッ素塗布

1~15歳の間、年に2~4回、歯科医院などで歯にフッ素を塗ってもらう方法です。

4、フッ素歯磨き剤

フッ素の入った歯磨き剤で歯を磨く方法です。

  • 虫歯予防に用いるフッ素の安全性

フッ素は化合物として、土壌中や海水中などに広く分布しており、体内では主に歯や骨の構成要素となっています。飲食物中のフッ素は胃腸で吸収され、血液を経て、大半は尿中に排泄され、一部が形成中の歯や骨に沈着します。フッ素は丈夫な歯や骨をつくるための必須の微量元素とされ、虫歯予防に使用する量では、安全上、何ら問題はありません。

○その他の方法

虫歯になりやすい奥歯の咬み合わせの面(咬合面)の溝の部分(小窩裂溝)に、歯が生えてすぐに、歯科医院でプラスチックを詰めてもらう方法(シーラント)などがあります。

近年、先進諸外国から、虫歯の減少が報告されてきています。諸外国では虫歯が減少しているのに、わが国では虫歯の増加がやっと止まったところです。

これらの国の中で、わが国の砂糖消費量は最低ですし、国民の健康志向も強いのに、どうして虫歯が減らないのでしょうか。それは、わが国では、家庭や歯科医院で行う虫歯予防のみが強調され、施設や地域ぐるみの活動が不十分であることなどが考えられます。虫歯予防を個人の努力だけに委ねていくことには難しいものがあり、市町村単位の水道水フッ素化や施設単位のフッ素洗口など、フッ素を使った、組織的な虫歯予防活動の普及がなされなければならないといえます。

我が国は経済大国であるとともに、虫歯大国であるという現状を見ると、虫歯の多発は社会の責任であるとも言えますので、組織的な対応が切に望まれるのです。