歯槽膿漏とはどんな病気?

 

歯槽膿漏とはひとくちにいって歯の周りに起こる病気の全てを言います。つまり、歯そのものの病気ではなく、歯の周りの組織の病気です。これについて詳しく述べる前に、歯とその周りの組織(歯周組織)の解剖と、両者の関係について説明しておきます。

歯は外から見える歯冠と外からは見えない歯根からなり、直接ものを噛むという働きをする歯冠は、その下に続いている歯根部によって固定されています。そして歯根を支えている歯周組織はセメント質、歯根膜、歯槽骨、そして歯茎(歯肉)の4つの部分から構成されており、セメント質は歯根の表面を覆っていて歯根の一部となっています。歯根膜はセメント質とその外側にある歯槽骨(顎の骨の歯根を取り囲んでいる部分)とを直接連結するのが主な役目ですが、それ自体が弾力のある強い線維なので、クッションの役目をもしています。歯槽骨は歯根を取り巻いて歯を顎の中に保持しており、その外側の歯茎によって外部環境から保護されています。そして、歯茎は、歯冠によって歯との継ぎ目が傷つかないように守られているのです。このように、歯と歯周組織はそれぞれが相互の防御作用によって助け合っている仲間ですから、歯冠の形を含めてその部のどこに異常が起こっても歯槽膿漏になりやすく、また治りにくくなります。

さて、歯槽膿漏のまず最初は、歯の生え際の表面に歯石(歯垢が古くなって石のように硬くなったもの)がくっついて、それが原因となって歯を取り巻く歯茎に炎症(腫れて赤くなること)が起こります。この炎症が長く続くと歯と歯茎の継ぎ目が壊され、その間に隙間(歯周ポケット)ができ、さらにその底にある歯槽骨が次第に溶けて消失してきます。

言い換えますと、歯を顎の骨の中で支えている組織が壊され、自覚症状がないまま病状が進んでいく慢性の炎症であるということです。歯槽膿漏の大きな特徴は、痛みを伴わないことです。つまり、気が付かないうちに発病して非常にゆっくりと、しかも常に止まることなく病状が進んでいくのです。