■歯槽膿漏の治療

歯槽膿漏の症状をもう一度まとめてみると、次のようになります。

1:歯茎が赤くなり腫れる。

2:歯周ポケットと言われる溝が歯と歯茎の間に出来、深くなる。

3:そのポケットから血や海が出る。

4:歯が揺れ動く。

5:歯槽骨が溶けてなくなっていく。

これを五大病状といい病状はだいたい順序で進んでいきます。したがって治療法は、これらの原因を除去して病変を改善して、歯周組織の健康を取り戻し、そしてその状態を保たせることです。

現在、歯槽膿漏の治療の進め方は次のように体系づけられています。

口の中の色々な病状をレントゲン写真と共に詳しく診査(調べること)して、病状の軽重や広がりの程度を診断し、この歯槽膿漏はどのように治していくか、あるいはどこまで治せるかなどの見通しの下に治療計画を立てます。これには歯科医師の豊富な知識と臨床経験が必要とされます。そして治療計画に基づいて、まず病気の軽重に関わらず、基本的治療である初期治療を行います。これだけで軽度から中等度までの大部分の患者は救えますし、重度のものでもびっくりするほど良くなる場合があります。

そこで、もう一度診査して再評価(治療計画の見直し)し、五大病状に改善が見られないものに対して、歯周外科治療が行われます。そして、そのあとで、必要に応じてメインテナンスに入ります。

初期治療とは、炎症を起こす原因や異常な咬み合わせの原因を除いて、歯茎の腫れや出血、膿をなくし、また、歯が動かないようにすることです。これには色々な処置法がありますが、その中でも重要なものは、プラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニングの3つです。

 

1:プラークコントロール

歯垢のことを英語でプラークと言うので、プラークコントロールとは歯垢を口の中から除去することです。これには清掃用具として主に歯ブラシが用いられますが、歯と歯の間の歯垢は歯ブラシだけでは十分取れないので、補助的清掃用具(歯間部用小ブラシ、ラバーチップ、木製のチップ、デンタルフロスなど)が用いられます。

歯槽膿漏は本来、医患共同作戦(医者と患者が一緒になって治療にあたる)によって治療に功を奏する病気ではありますが、このプラークコントロールは患者自身が行う唯一の治療法なのです。特に患者は歯磨きによって歯垢を取り除くと共に、歯茎をマッサージすることにより外側から鍛え、合わせてよく咬むことにより歯茎の内側(歯槽骨や歯根膜)を鍛えます。この2つは大変重要な、そして効果的な歯槽膿漏の治療または予防法なのです。

しかし、このプラークコントロールは易しそうで、実は難しく、特に年配の人、忙しい人はなかなかうまくいきません。歯垢は歯と歯茎の境目とか、歯と歯の間など歯ブラシの届きにくいところに貯まるので、いい加減に磨いたのでは、半分も取り除けません。歯垢の付着状態を検査するのに、プラークコントロールレコードという方法を用いて、口の中の汚れの広がりを%で表します。つまり、歯の外側、内側、隣接面など、全ての歯面を歯垢染め出し液で染めて染色の有無で判定します。染まる部分が歯面全体の20%以下であれば合格ということになります。20%以下になると歯周組織の病変は治癒に向かい、また健康が維持されるからです。それには、歯科医師の管理のもとで行わなければなかなか効果は上がりません。

 

2:スケーリングとルートプレーニング

この2つは、プラークコントロールを徹底し、歯茎の炎症の消褪と歯周ポケットの改善を図るために行われます。

スケーリングとは、歯垢や歯石を取り除くこと、ルートプレーニングとは細菌によって汚染され、軟化したセメント質を除去して根面を滑沢にすることで、どちらもスケーラーという歯石取り用の器具を用います。歯周ポケット内の目で見えない歯根の奥の部分に付着している歯垢や歯石を完全に取り除くことが重要です。これは手探りのため、たいへん熟練を要します。