歯科矯正による歯並びの変化と矯正の目的
歯を動かす
歯並びが悪くて、上下の歯がうまく咬み合わない状態を、不正咬合といいます。
また、そんな場合、うまく咬み合わせるために、歯を理想的な位置に移動させる治療を、矯正といいます。
もともと歯は、歯槽骨の穴の中に植わっているものです。歯を動かすとすれば、歯槽骨の穴ごと、移動させることになります。果たして、そんなことができるのでしょうか。
そうです。歯は動かすことが出来ます。それは、砂の中に立てた棒杭を動かすようなものです。
杭が動くのと一緒に、砂の穴も少しずつ動いていきます。
←の方向に向かって、歯に力を加えると、歯を支えている骨(歯槽骨)に、変化が起こります。
長い期間の間に、圧迫された側(A)の骨は消失します。また、反対側(B)では、線維(歯根膜)が引っ張られ、骨がつくられていきます。
矯正の目的
近年、アメリカでは、歯並びの矯正治療が盛んに行われています。
何故でしょうか。
その理由は、簡単に言うと、アメリカが、世界で一番進んだ、情報化社会だからです。
情報の基本は、人と人との対話です。他人に対して、全く引け目を感じないで、堂々と自分の意見を述べることです。
反対に日本では、他人に対して、出来るだけ控えめであることが、昔から美徳とされてきました。笑う時、ハンカチや手で口元を隠すのも、その気持ちの表れです。
他人と対話をするとき、口の中を見られても、平気でいられるためには、歯並びが整っていることが必要です。
今や日本は、急速に国際化して、アメリカに劣らぬ情報化社会となりつつあります。そして、時代を背負う日本の若者たちには、国際的な活躍がとみに期待されています。矯正治療に対する理解が、アメリカのように、日本全国に普及するのも、そう遠いことではないでしょう。
矯正の治療は、“悪い歯並びを良くするため”と簡単に思われがちですが、それだけではありません。もっと大きな意味があります。
矯正は、顔と顎の形を正しくし、ひいては体全体を、良い方向へ発育、成長させます。
矯正の目的を大きく分けると、次の4つになります。
その1 よく咬めるようになる
その2 顔の形や表情が美しくなる
その3 健康な歯肉や骨をつくる
その4 正しい発音が出来るようになる