レジン修復法

 

泥状にした歯科用レジン(合成樹脂)を、修復すべき窩洞に直接詰めて形を整えたのちに固める処置法を、レジン修復法といいます。

20世紀における画期的な発明品の1つに、プラスチックやナイロンなどの有機高分子材料がありますが、第二次世界大戦中のドイツにおいて、この種の歯科用修復材料であるアクリリックレジンが開発されました。レジンの大きな特徴は、天然歯と色調が非常によく似ており、材料そのものの耐久性がかなり良いという点にありますが、当時の製品は粉末と液を混ぜて泥状物をつくり、それを窩洞に詰めて固まらせたものであり、実際の評価は芳しいものではありませんでした。すなわち、詰めてもすぐ取れてしまう、変色しやすい、すり減りが早いなどの不評を招きました。これらの問題点を改善すべく努力が払われて、日本では1958年に保険診療項目に採用され、その治療法も定着しました。

1965年頃になると、石英やガラスの微粉末を組み合わせて、強度などの性質を更に向上させたコンポジットレジン(複合レジン)が登場しました。ところが、コンポジットレジンも初期の頃は強度も十分でなく、修復後の早いうちに表面が荒れてザラついたり、変色をしたり、臨床的にも満足のいくものではありませんでした。しかし、現在では、技術と材料の両面から改良が加えられ、諸性質の著しく向上した優れた材料が世に出ており、臨床的にもかなり満足のいく修復が可能になってきています。

コンポジットレジン修復では、窩洞のエナメル質表面をある種の酸で処理して、凹凸を形成し、レジンと歯との機械的な保持力を高める方法が用いられています。このように歯を酸で処理し、表面を溶かすという、一見、矛盾した方法を用いていますが、この方法と優れた接着剤の登場によりコンポジットレジンの虫歯治療への適応範囲は広く、前歯においては、咬み合わせに注意すれば、かなり大きな虫歯でも修復が可能になりました。特に白濁した歯や変色した歯の審美性を回復する場合、また、エナメル質の形成量が少ない場合(エナメル質形成不全症)には、この方法は最適であると考えられます。すなわち、自然の歯の色調とは異なる歯を全く削ることなしに、あるいは削っても最小限にとどめて、もっとも適した色調のコンポジットレジンで歯の表面を覆ってしまうことにより、自然な色調に回復することが可能です。

更に、この方法は、交通事故や打撲などで前歯が折れた場合の修復にも大きな威力を発揮します。コンポジットレジンは自然な色と形態をもった歯に回復させることができます。

また、最近では、咬み合わせ時の力にも抵抗する強さを有する臼歯部用コンポジットレジンも開発され、これまで金属で修復されていた部位に用いられるようになっています。

従来は、化学反応により一定の時間が経過すると固まる製品(化学重合型レジン)が使用されていましたが、現在では、このほかに、可視光線を当てると固まる製品(光重合型レジン)が多く使用されています。後者は形を整える時間の調節が可能で、十分な修復時間が確保でき、また多くの色調のレジンが揃っているために、色調も合わせやすいという大きな利点を持っています。患者の希望も、かつての、前歯を金属で修復した時代から、現在のできるだけ白い歯に回復する方法へと変わってきており、コンポジットレジン修復の応用範囲は以前にも増して広くなっています。